無痛分娩(和痛分娩)

無痛分娩とは、麻酔を使って分娩時のさまざまな痛みをやわらげる出産方法です。 分娩時の痛みが完全に無くなるわけではないので「和痛分娩」とも呼び、2つの言葉に明確な違いはありません。

無痛分娩にはさまざまのメリットがあります。このページでは、メリットだけでなくデメリットや当院の安全管理体制、実績などについてなるべく分かりやすく記載しました。

前回のお産が非常につらかった方や計画分娩で出産したい方、陣痛に対する不安がある方は、内容をお読みいただき、ぜひご検討ください。

無痛分娩をお勧めする方

下記のような方には無痛分娩をお勧めいたします。
前回のご出産が難産だった方
前回のご出産の際、産後の体調回復が遅くつらかった方
陣痛に対する不安や恐怖がある方

当院の無痛分娩の方法と特徴

無痛分娩として一般的な「硬膜外麻酔」を使用して行います。
硬膜外麻酔とは、背骨のところにある「硬膜外腔」という場所に細くて柔らかい管を入れ、そこから麻酔薬を注射する方法です。
※図3 硬膜外鎮痛(麻酔)参照

こちらはお腹から下の痛みを取るもので、意識ははっきりとしています。子宮の収縮(陣痛)も痛くはない程度に自覚できる浅さの麻酔であり、お腹の赤ちゃんへの影響もありません。

また、眠る麻酔ではありませんので、ご出産後すぐに赤ちゃんと対面することも出来ます。

当院の無痛分娩の特徴
麻酔科専門医が分娩管理を行います。
日程を決めて前日入院の上で出産する「計画無痛分娩」と、陣痛や破水でご入院したタイミングで麻酔を行う「自然陣痛からの無痛分娩」よりお選びいただけます。

メリット・デメリット

無痛分娩には多くのメリットがある一方、デメリット(リスク)もあります。

■メリット
お産の痛みを和らげることが出来ます。感覚的な基準ですが、痛みを通常の2~3割程度に軽減出来ます。
お産の疲労が軽くなるため、産後の回復も普通分娩より早くなります。
計画無痛分娩の場合、あらかじめ日程決めてお産をすることが出来ます。
麻酔は非常に微量のため、産まれるお子さまへの影響もありません。

■デメリット(リスク)
麻酔により陣痛が弱まりお産が長引くことで、鉗子分娩や吸引分娩になる割合が上昇する可能性があります。
 ※帝王切開になる割合は変わりません。

一時的に以下のような合併症を引き起こす可能性があります。
 尿意の消失 / 下半身の感覚低下 / 血圧の低下、血圧低下に伴う気分不快

非常にまれですが、下記のような合併症を引き起こす可能性があります。
 頭痛 / 神経損傷 / 感染 / 血腫 / アレルギー性ショック / 麻酔効果範囲の拡大による呼吸抑制 / 局所麻酔中毒
あらゆる治療にはリスクが存在します。そのリスクを回避するため、当院ではさまざまな安全対策をおこなっております。
詳しくは後述の「当院の安全管理」をご確認ください。

計画無痛分娩と自然陣痛からの無痛分娩、それぞれの特徴

当院では2つの方法で無痛分娩を行っております。主な特徴は下記の通りです。

■計画無痛分娩
日程を決めてお産が出来るため、上のお子さまがいる経産婦の方や、ご主人がお忙しい方にお勧めしています。
計画無痛分娩の場合、予定通りにご入院いただければほぼ確実に無痛分娩が行えるだけでなく、計画日より前にご入院となった場合(夜間含む)であっても、原則無痛分娩にてご出産いただくことが出来ます。
 ※予定日前のご入院の場合、分娩の進行が著しく早い場合や、麻酔のリスクが高い方の場合等、無痛分娩が行えないケースもございます。   


■自然陣痛からの無痛分娩
陣痛や破水が来た後に麻酔を入れるため、より自然分娩に近い形でのお産が出来ます。
陣痛の痛みによって麻酔を使うかどうか選択したい方の場合、お申込みいただいても麻酔を使用しなければ、無痛分娩の料金はかかりません。
麻酔科医が担当する関係上、ご入院やお産のタイミングにより、お申込みいただいても無痛分娩を行えない場合がございます。
 あらかじめご了承ください。
 ※無痛分娩 開始可能時間:月~土曜日(祝日を除く)9:00~16:00

お申込みから当日までの流れ

【計画無痛分娩の場合】

①妊娠33週の妊婦健診までに、『 計画無痛分娩 』をご希望であることを医師にお伝えください。
麻酔科診察の前に腰椎のレントゲン撮影を行います。 
妊娠35~36週頃に麻酔科診察をご予約いたします。
 その麻酔科診察時に「当院の無痛(和痛)分娩に関する同意書」をお渡しいたします。


②35週以降は毎週妊婦健診時に内診をおこないます。
子宮口の開き具合を見て、妊娠37週以降で無痛分娩の予定日を決め、ご予約いたします。
  ※予定日は原則「月~土曜日」のいずれかとなります。
   なお、初産の場合の予定日は原則「月~金曜日」のいずれかとなります。

妊婦健診時に「分娩誘発・促進に関する同意書」をお渡しいたします。

③無痛分娩予定日の前日14:00頃にご入院いただき、内診と前処置をお受けいただきます。
ご入院時、あらかじめお渡しした下記同意書をご提出ください。
 ・当院の無痛(和痛)分娩に関する同意書
 ・分娩誘発・促進に関する同意書
入院後、夜0:00以降はお水以外のご飲食はお控えいただきます。

④無痛分娩予定日の当日7:00頃より分娩誘発のため子宮収縮剤の点滴を開始させていただきます。

⑤分娩の進行状況を見ながら硬膜外麻酔を開始していきます。

【自然陣痛からの無痛分娩の場合】

①妊娠33週の妊婦健診までに、『 自然陣痛からの無痛分娩 』をご希望であることを医師にお伝えください。
妊娠35~36週頃に麻酔科診察をご予約いたします。
その麻酔科診察時に「当院の無痛(和痛)分娩に関する同意書」をお渡しいたします。
 入院時に必ずご提出をお願いいたします。

麻酔科診察の前に腰椎のレントゲン撮影を行います。


②自然分娩の方と同様の入院タイミングにてご来院ください。
具体的なご入院の流れにつきましては、ご通院中にお渡しするAIWAストーリーブックをご参照ください。

③ご入院後、分娩の進行状況を見ながら硬膜外麻酔を開始していきます。
 ※無痛分娩の開始。月~土曜日(祝日を除く)の9:00~16:00にて実施。

無痛分娩実施時の注意点

■以下の方は安全上のご理由から無痛分娩を受けられません。
血液凝固異常のある方
37.5℃以上の発熱や感染の疑いがある方
硬膜外カテーテルが挿入困難な方
無痛分娩に関する説明に対し、同意を得られない方

■妊娠・分娩の経過中、母子になんらかの異常が見られた場合、無痛分娩が受けられない場合がございます。

■ご家族の方は、急変時に備えすぐに連絡が取れるよう、お願いいたします。

■無痛分娩をご希望の方は必ず麻酔科診察を受けていただいております。
 未受診の場合原則無痛分娩は出来かねますので、無痛分娩をご検討中の方は、あらかじめ麻酔科診察の
 ご受診をお勧めいたします。 ※麻酔科診察 :5,500円

当院の安全管理と麻酔管理者

■手法が確立されているとはいえ、麻酔を使う無痛分娩の専門家は麻酔科医です。
 当院では安全に配慮し、麻酔科専門医による管理をさせていただいております。


【当院の無痛分娩麻酔管理者】

前島 和美KAZUMI MAESHIMA

専門分野 麻酔全般
認定資格 厚生労働省麻酔科標榜医
日本専門医機構認定麻酔科専門医
所属部会 日本麻酔科学会、日本産科麻酔学会
経歴
1996年 埼玉医科大学医学部卒業
1996年 埼玉医科大学総合医療センター麻酔科入局
2010年 愛和病院入局
埼玉医科大学総合医療センター麻酔科 非常勤講師
■安全性を高めるため麻酔科専門医管理の元、関わるスタッフは手技指導を受けております。
 どうぞ、安心してご入院ください。

費用

■各プランの「普通分娩」費用にプラス15万円で実施しております。
プラン別 無痛分娩費用
カジュアルプラン  …   71万円(4泊5日)
プレミアプラン   …   83万円(4泊5日)
ラウレアプレミア  …  138万円(6泊7日)

当院の実績

当院の無痛分娩実施件数の推移は下記の通りです。
2021年4月より初産の方の無痛分娩を開始し、実施件数は大幅に増加。昨年は約3人に1人の方が無痛分娩にてご出産されました。

よくあるご質問

Q:お産が長引く可能性があるとありますが、日をまたぐほど長引くのでしょうか?
A:2023年の実績では、無痛分娩をおこなった方全体の78%が当日にご出産されています。
  また、一般的にお産が長引く可能性があることから、鉗子分娩や吸引分娩でのご出産が増加するといわれています。
当院の場合でも無痛分娩をおこなわなかった場合と比べ、鉗子分娩・吸引分娩でのご出産は約22%上昇しました。
  図)急速遂娩となった方の割合グラフ(出典:2023年 年間分娩統計)

無痛分娩診療体制情報公開

愛和病院はJALA(無痛分娩関係学会・団体連絡協議会)が推進する無痛分娩診療体制情報公開事業に賛同し、下記の通り無痛分娩に関する情報公開を行っています。